近年、台風や線状降水帯による集中豪雨が頻発し、全国各地で深刻な水害が発生しています。国土交通省のデータによると、全国の約3割の地域が浸水想定区域に含まれており、2019年の令和元年東日本台風(台風19号)では71河川で堤防が決壊し、甚大な被害をもたらしました。気象庁は大雨の発生頻度が増加傾向にあると分析しており、これまで水害と縁のなかった地域でも浸水リスクが高まっています。
水害は地震と異なり、気象情報によってある程度の事前予測が可能な災害です。気象庁が発表する「警戒レベル」は5段階で構成されており、レベル1(早期注意情報)で心構えを、レベル3(高齢者等避難)で高齢者や障がいのある方・乳幼児のいる家庭は避難開始、レベル4(避難指示)で対象地域の全員が避難、レベル5(緊急安全確保)はすでに災害が発生している状態です。レベル4までに必ず避難を完了させることが、国土交通省・気象庁が繰り返し呼びかけている最重要ポイントです。
水害避難では、通常の非常持出袋に加えて「防水対策」が決定的に重要になります。防水バッグによる貴重品・書類の保護、長靴ではなく脱げにくい運動靴の着用、上下セパレートのレインウェアなど、水害特有の備えが欠かせません。また、避難所への避難だけでなく、浸水が急激に進んだ場合の「垂直避難」(建物の上層階への避難)も想定しておく必要があります。
お住まいの地域のハザードマップで浸水想定を必ず確認し、避難場所・避難経路を家族で共有したうえで、このチェックリストで避難準備を進めましょう。List Withでリストを作成すれば、家族で持ち物の分担をリアルタイムに共有・管理できます。
大人
子ども
人数を設定して持ち物を確認
身分証明書・保険証券・現金など、避難後の生活再建に不可欠な貴重品を防水保護して携帯するためのリスト
防水バッグ・ドライバッグ
1
貴重品・書類を水から守る。リュック全体を入れられる大型サイズが理想
現金(小銭含む)
1
停電でATM・キャッシュレス決済が使えなくなる場合がある
ジップロック等の防水袋に入れて携帯
身分証明書のコピー
1
運転免許証・マイナンバーカード・保険証のコピーを防水袋に入れておく
原本が持ち出せなくてもコピーがあれば各種手続きがスムーズ
保険証券のコピー・保険証券番号メモ
1
火災保険・水災補償の請求に必要。証券番号だけでもメモしておく
お薬手帳のコピー・処方薬リスト
3
避難先で同じ薬を処方してもらうために必要
自宅の鍵
1
レインウェア・運動靴・防水ケースなど、冠水した環境で安全に移動し体温を守るための水害特有の装備
レインウェア(上下セパレート)
3
傘は暴風時に使えない。上下セパレートのレインウェアが必須
ポンチョ型は足元が濡れるため、上下セパレートタイプを推奨
脱げにくい靴(運動靴)
3
長靴は水が入ると歩けなくなる。紐でしっかり締められる運動靴が最適
サンダル・長靴は冠水時に危険。底が厚い運動靴を推奨
着替え(速乾素材が理想)
3セット
濡れた衣類は体温を奪う。防水袋に入れて携帯
タオル
3
体を拭く・防寒・怪我の応急処置に
大型ビニール袋
5枚
濡れた衣類の収納、簡易防水カバー、敷物として多用途
スマホ防水ケース
2
スマホは情報収集の生命線。防水ケースで確実に保護
避難所での衛生管理・感染症予防・持病対応に必要な医薬品・衛生グッズ
ウェットティッシュ
3パック
避難所では手洗い環境が限られる。除菌タイプが便利
マスク
15枚
避難所での感染症予防に
常備薬・処方薬
3
持病がある場合は最低3日分の処方薬を携帯
救急セット(絆創膏・消毒液)
1
冠水した水は不衛生。小さな怪我でも感染リスクがある
簡易トイレ
13回分
避難所のトイレが使えない・混雑する場合に
生理用品
1
避難所での配布が不足しがち。必要な方は必ず携帯
おむつ・おしりふき
1
乳幼児がいる場合に必要
持ち出し可能な軽量の飲料水・携行食。避難時に携帯できる最小限の食料
飲料水
3本
1人500ml〜1Lを携帯。重くなりすぎない量で
大量の備蓄は持ち出し用ではなく在宅避難用。持ち出しは最小限に
携行食(栄養補助食品・ゼリー飲料)
5
軽量で調理不要の食品。エネルギーバー・ゼリー飲料が便利
飴・チョコレート
1
糖分補給・気持ちを落ち着ける効果も
離乳食・粉ミルク・哺乳瓶
1
乳幼児がいる場合に必要な分を携帯
スマートフォン・モバイルバッテリー・ラジオなど、停電・通信障害時でも情報収集と安否連絡を確保する装備
スマートフォン(フル充電)
2
情報収集・安否確認・地図の生命線。出発前にフル充電
モバイルバッテリー
2
10000mAh以上推奨。充電ケーブルも忘れずに
懐中電灯・ヘッドライト
1
夜間避難・停電時に必須。ヘッドライトなら両手が使える
ホイッスル(防災笛)
3
万一流されたり閉じ込められた場合の救助要請に
携帯ラジオ
1
停電・通信障害時の情報収集手段
浸水が急激に進み避難所への移動が危険な場合に備え、自宅上層階で生活を維持するための事前準備
2階以上に飲料水・食料を移動
1
浸水に備えて生活必需品を上層階に移動しておく
垂直避難を想定し、2階に最低限の生活物資を置いておく
貴重品を2階以上に移動
1
浸水で1階の家財が損傷する前に上層階へ
家電・コンセントを高い位置に移動
1
浸水による漏電・感電を防止。コンセントを抜いておく
ハザードマップで浸水想定を確認
1
自宅の想定浸水深を確認し、垂直避難で安全かどうかを判断
想定浸水深が2階の床を超える場合は、避難所への早期避難が必要
被害前の自宅の写真を撮っておく
1
罹災証明書の申請時に被害前後の比較ができると有利
大人と子どもの人数を設定します
カテゴリ別に必要な持ち物を確認します
貴重品・書類の防水袋への収納を確認します
リストを共有して誰が何を持つか分担しましょう
水害避難では「防水対策」が最も重要なポイントです。防水バッグで貴重品を保護し、長靴ではなく脱げにくい運動靴を履き、上下セパレートのレインウェアを着用します。また、冠水した水は下水が混じって不衛生なため、怪我の感染症予防(救急セット)の重要度が高まります。
はい、非常に危険です。水深が膝(約50cm)まで達すると歩行困難になり、流される恐れがあります。マンホールの蓋が外れていたり側溝に落ちるリスクもあり、水面下の危険は見えません。水深がくるぶし以上の場合は無理に避難せず、建物の上層階へ垂直避難してください。棒や傘で足元を確認しながら歩くことも有効です。
垂直避難とは、建物の上層階に避難することです。浸水が急激に進んで避難所への移動が危険な場合や、夜間で避難経路が見えない場合に選択します。ただし、ハザードマップで想定浸水深が2階の床を超える場合や、木造住宅で流失の恐れがある場合は、早めに避難所へ避難してください。鉄筋コンクリート造の建物が安全です。
長靴は水が入ると非常に重くなり歩行困難になります。また、脱げやすく水流に足を取られて流されるリスクがあります。紐で足にしっかり固定できる運動靴(スニーカー)が最も安全です。底が厚いものを選ぶと、冠水した道路に散乱するガラス片や釘などからも足を保護できます。内閣府の防災ガイドラインでも、水害時は長靴を避け、履き慣れた運動靴の着用が推奨されています。
気象庁の警戒レベル3(高齢者等避難)が発表されたら高齢者・障がい者・乳幼児のいる家庭は避難開始。警戒レベル4(避難指示)で全員避難です。暗くなる前・浸水が始まる前の早めの避難が基本です。浸水が始まってからの避難は非常に危険です。
浸水した水は下水・汚泥が混じっているため、衛生面に注意が必要です。ゴム手袋・マスク・長靴を着用し、作業後は必ず手洗い・うがいをしてください。また、片付けの前に被害状況の写真を撮影しておきましょう。罹災証明書の申請に必要です。電気設備は漏電の危険があるため、電気工事店に点検を依頼してから使用してください。
防水バッグ・レインウェア・運動靴など、水害避難ならではの持ち物を重点的にカバー。通常の非常持出袋との違いが一目でわかります。
避難所への持ち物リストに加え、浸水時の垂直避難(上層階への避難)の準備もカバーしています。
大人と子どもの人数を設定するだけで、飲料水・携行食・衛生用品の必要数量が自動計算されます。