マンションや集合住宅での防災は、戸建てとは大きく異なる課題があります。最も代表的なのがエレベーター停止問題です。2016年の熊本地震では、多くのマンションでエレベーターが停止し、完全復旧まで1週間程度かかったケースもありました。東京都の被害想定では、都心南部直下地震(M7.3)発生時に都内で約22,000台のエレベーターが停止する可能性があるとされています。高層階に住む方は、エレベーターなしで日常生活を送る準備が不可欠です。
集合住宅固有のリスクはほかにもあります。停電により揚水ポンプが停止すると、地上からの給水ができなくなり断水が発生します。排水管が損傷した場合は管理組合から「トイレを流さないよう」の指示が出ることがあり、各戸に携帯トイレの備蓄が欠かせません。また長周期地震動の影響で、高層階ほど大きくゆっくりした揺れが数分続くことがあり、家具転倒防止は特に優先的に対応すべき事項です。内閣府防災や東京消防庁は、マンション居住者に対して「むやみに外へ出ない」在宅避難を基本方針として推奨しています。
内閣府「防災白書」によれば、首都直下地震では最大約720万人が避難者となる想定で、避難所の収容能力には限界があります。マンション居住者が在宅避難を実現できれば、避難所の負担を大幅に軽減できます。消防庁は1人1日3リットルの飲料水と携帯トイレの備蓄を推奨しており、特に集合住宅では排水管復旧まで携帯トイレが唯一の手段となるため十分な数量の確保が不可欠です。このチェックリストでは、居住フロアや家族構成に合わせた備蓄量が自動計算されます。List Withでリストを作成し、マンションの住民どうし・家族間で防災の備えを共有しましょう。管理組合の防災計画確認から各戸の備蓄準備まで、住民全体で取り組むことで集合住宅の防災力が高まります。
大人
子ども
居住フロアと人数を設定して備えを確認
耐震性能の確認、家具転倒防止、ガラス飛散対策、ブレーカー・ガス元栓の位置把握など、建物と室内の安全を確保するための点検項目
建物の耐震性能の確認
1
1981年6月以降の新耐震基準建物か確認。旧耐震基準のマンションは耐震診断・補強が必要
築年数は管理組合または管理会社に確認を
家具・家電の転倒防止対策
1
L字金具・突っ張り棒・転倒防止マットで固定。高層階は長周期地震動で揺れが大きく特に重要
寝室・子ども部屋・キッチンを優先。冷蔵庫・本棚・テレビも対象
窓ガラス飛散防止フィルム
1
地震時のガラス飛散による怪我を防止。高層階は強風でも割れる可能性あり
住宅用消火器
1
初期消火に使用。住宅用消火器の使用期限は約5年。廃棄方法も確認
共用廊下の消火器の設置場所も確認しておく
ガスの元栓・マイコンメーターの位置確認
1
地震後にガスを止められるよう全員が位置を把握。マイコンメーターの復帰操作方法も確認
ブレーカーの位置確認・感震ブレーカー
1
通電火災防止のため避難前にブレーカーを落とす。感震ブレーカーの設置も有効
感震ブレーカーは一定以上の揺れで自動的にブレーカーを落とす装置
排水管の状態・逆流確認
1
地震で排水管が損傷した場合、管理組合の指示があるまでトイレを流してはいけない。事前に管理組合の連絡先を確認
損傷前にトイレを流すと階下に汚水が漏れる。必ず管理組合の指示に従う
エレベーター停止時の行動確認、非常階段・避難ハッチの使い方、停電時でも安全に避難するための経路確認
エレベーター停止時の行動確認
1
大地震後はエレベーターを使用禁止。停止中に乗ると余震で閉じ込められる危険あり
エレベーター内にいたときは全階ボタンを押し最寄り階で降りる。復旧連絡先を確認
非常階段・避難経路の確認
1
停電時も利用できる非常階段のルートと避難場所を全員が把握
防火扉・非常口の位置・開け方も確認。廊下・階段に荷物を放置しないよう普段から意識
バルコニー避難ハッチ・蹴破り戸の確認
1
玄関から逃げられない場合のための脱出経路。設置場所・使い方を平時に確認
バルコニーに物を置いて避難ハッチをふさがないよう注意
玄関に靴を常備
3
夜間地震でガラスが割れた室内を歩くために必要。就寝場所の近くに厚底の靴を置く
揚水ポンプ停止による断水に備えた飲料水・非常食の備蓄、給水用タンクやカセットコンロなど在宅避難を支える食料関連の準備
飲料水(ペットボトル)
24リットル
停電で揚水ポンプが止まると断水する。1人1日3リットル×3日分が消防庁の推奨
できれば1週間分の備蓄が理想。2Lペットボトルが保管・持ち運びに便利
非常食(アルファ米・缶詰・レトルト)
24食分
1人1日3食×3日分を確保。アルファ米は水またはお湯で調理可能
年に1回(防災の日前後)に賞味期限を確認しローリングストックを心がける
カセットコンロとボンベ
6本
ガス停止時に温かい食事を作れる。1本約60分。3日分で6本以上が目安
給水用ポリタンク・折りたたみタンク
2個
断水復旧後の給水車から水を運ぶために必要。エレベーターがない状況での持ち運びを考慮して10L以下推奨
折りたたみ式は収納スペースを取らない。給水場所は自治体のハザードマップで事前確認
排水管損傷時に必須の携帯トイレ備蓄、断水時の衛生管理、救急セット・常備薬など健康を守るための備え
携帯トイレ・簡易トイレ(凝固剤タイプ)
91回分
断水・排水管損傷時は管理組合の指示があるまでトイレを流せない。1人1日5回×7日分が集合住宅では推奨
排水管の安全確認前にトイレを流すと階下に汚水が漏れる。十分な備蓄が必須
ウェットティッシュ・除菌シート
6パック
断水時の手洗い・体拭きに。感染症予防にも重要
ゴミ袋(大・小)
30枚
ゴミ収集が停止するため大量に必要。携帯トイレの処理袋・防臭にも使用
消臭剤・消臭スプレー
2
携帯トイレ使用時の臭い対策。集合住宅では廊下など共用スペースへの臭い漏れ対策にも
救急セット(絆創膏・消毒液・包帯)
1
地震後はガラスの破片や転倒物で怪我をしやすい。エレベーター停止中は救急車の到着後も搬送に時間がかかるため応急処置の備えが重要
常備薬・持病の薬
1
エレベーター停止中に薬が切れると調達が困難になる。最低1週間分を確保
処方薬は「お薬手帳」をコピーして非常袋に入れる
停電・通信障害時の情報収集手段、モバイルバッテリー・LEDランタンなど電源と照明の確保、防寒対策
携帯ラジオ(手回し・電池式)
1
停電・通信障害時の情報収集に必須。管理組合からの指示はラジオや掲示板で伝達されることがある
モバイルバッテリー(大容量)
1
スマホ充電確保。10000mAh以上推奨。管理組合への連絡・緊急連絡に必要
LEDランタン・懐中電灯
2個
停電時の室内照明と非常階段移動用。ろうそくは集合住宅の火災リスクがあるため禁止の場合も
1台は室内用ランタン、もう1台は持ち運び用懐中電灯として分けると便利
予備電池(各サイズ)
3セット
ラジオ・懐中電灯・ランタンの電源確保。停電が長期化した場合に予備がないと情報収集・照明が途絶える
アルミブランケット(エマージェンシーシート)
3
暖房が使えない場合の防寒に。軽量コンパクトで非常袋に必ず入れる
管理組合の防災計画確認、緊急連絡先の把握、近隣住民との安否確認体制づくり、重要書類の保管など共助の備え
管理組合・管理会社の緊急連絡先確認
1
排水管の損傷確認、エレベーター復旧連絡、給水支援の指示など、災害後は管理組合への連絡が重要
連絡先を紙に書いて非常袋に入れる。スマホ電池切れに備えてアナログで保管
管理組合の防災計画・規約の確認
1
マンションの防災基本計画、緊急時の役割分担、避難場所・集合場所を把握しておく
防災計画がない場合は管理組合に策定を働きかけることが重要
近隣住民との安否確認方法の共有
1
マンション内の高齢者・障がい者・乳幼児のいる世帯など要配慮者の居場所を把握し、発災時に声をかけ合う体制を
東京消防庁は居住者間の安否確認の仕組みづくりを推奨
マンション全体の避難訓練への参加
1
実際の避難経路・集合場所・行動手順を体で覚えることが大切
重要書類のコピー・デジタル保管
1
身分証明書・保険証・マンションの管理規約・通帳のコピーを非常袋に。クラウド保存も推奨
現金(小銭含む)
1
停電でATM・電子決済が使えなくなる。1万円程度の小銭を含めて確保
低層(5階以下)か高層(6階以上)かを選択します。高層階はエレベーター停止時の備えが特に重要です
世帯の大人・子どもの人数を設定します。飲料水や簡易トイレの必要数量が自動計算されます
共用設備の確認や管理組合の防災計画確認など、マンション固有の準備事項をチェックします
飲料水・非常食・簡易トイレを備蓄し、揃えたものからチェックを入れて管理しましょう
大規模地震後は復旧まで数日〜1週間以上かかることがあります。2016年の熊本地震では全体復旧まで約1週間を要しました。保守業者が個別に点検・復旧作業を行うため、台数が多いほど時間がかかります。エレベーター停止を前提とした備えが必要です。
排水管の安全が確認されるまでは、トイレを流さないよう管理組合から指示が出る場合があります。排水管が損傷した状態で水を流すと、下の階に汚水が漏れる被害が出ます。管理組合の指示があるまでは携帯トイレを使用してください。
建物が安全で、土砂災害・浸水の危険がなく、自治体からの避難指示が出ていなければ在宅避難が推奨されます。内閣府防災・東京消防庁は「むやみに外へ出ない」ことをマンション居住者の基本方針としています。ただし、自治体からの避難指示・勧告が出た場合は必ず従ってください。
事前に各戸で十分な備蓄水を確保することが最重要です。1人1日3リットル×最低3日分の備蓄が消防庁の推奨ですが、高層階では給水車から水を運ぶことが難しいため、7日分の確保が理想です。折りたたみポリタンクを用意し、復旧後の給水活動に備えましょう。
管理組合が主体となって防災基本計画を策定します。国土交通省の標準管理規約には防災に関する規定の参考例が示されています。防災計画がない場合は総会などで策定を提案しましょう。安否確認ルール・緊急連絡先・集合場所・役割分担を定めておくことが重要です。
長周期地震動とは、大規模地震の際に発生するゆっくりした大きな揺れで、10階以上の高層階では揺れが数分続くことがあります。家具・家電が大きくスライドしたり転倒するリスクがあるため、通常の家具固定に加えて滑り止めマットの設置や、キャスター付き家具のストッパー確認が重要です。
低層・高層を切り替えるだけで、階数に応じた準備が変わります。高層居住者向けの大容量備蓄水・長周期地震動対策など、フロア別のリスクに合わせたチェックリストが表示されます。
エレベーター停止時の行動確認・排水管損傷時のトイレ対応・揚水ポンプ停止による断水対策など、マンション固有の備えをカテゴリ別に整理。戸建てとは異なる集合住宅のリスクを見落としません。
URLを共有するだけで同じチェックリストを確認できます。管理組合の防災担当者・同フロアの住民・家族間でリストを共有し、マンション全体の防災力を高めましょう。