高齢者の低栄養は、筋力低下、免疫力低下、褥瘡(床ずれ)の悪化、認知機能の低下など、さまざまな健康問題のリスクを高めます。厚生労働省の調査では、65歳以上の高齢者の約15〜20%が低栄養またはそのリスクがあるとされています。加齢による食欲の低下、味覚の変化、嚥下機能の低下が主な原因ですが、適切な対策で予防・改善が可能です。
嚥下機能(飲み込む力)が低下した高齢者の食事ケアでは、食事形態の調整が重要です。日本摂食嚥下リハビリテーション学会が定める嚥下調整食の分類に基づき、主治医や言語聴覚士の評価を受けて適切な食事形態を選びましょう。食事形態は、普通食→軟菜食(やわらか食)→きざみ食→ミキサー食(ペースト食)→ゼリー食と段階があり、とろみ調整食品で水分にとろみをつけることも誤嚥予防に有効です。ただし、食事形態は医療専門職の判断に基づいて決定してください。
在宅介護での食事は毎日のことだからこそ、負担が大きくなりがちです。List Withで食事ケアのチェックリストを家族やヘルパーと共有し、栄養管理のポイントを確認しながら、無理のない範囲で食事の質を維持しましょう。
家族・ヘルパーと共有して栄養管理を支えましょう
定期的に体重を測定する
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月に1回以上の体重測定が理想。6ヶ月で2〜3kg以上の体重減少は低栄養のサインです
たんぱく質を十分に摂取する
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高齢者は筋肉量維持のため、体重1kgあたり1.0〜1.2gのたんぱく質が推奨。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品を毎食取り入れましょう
主食・主菜・副菜のバランスを整える
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主食(ご飯・パン)、主菜(肉・魚・卵・大豆)、副菜(野菜・海藻)を揃えると栄養バランスが整います
1日3食の食事リズムを維持する
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食事を抜くと1日の栄養摂取量が不足しやすくなります。少量ずつでも3食食べる習慣を維持しましょう
間食(補食)で栄養を補う
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1回の食事量が少ない場合は、10時や15時にヨーグルト、果物、おにぎりなどで栄養を補いましょう
栄養補助食品の活用を検討する
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食事だけでは必要な栄養素を十分に摂取できない場合、効率的にカロリーやたんぱく質を補えます
食事量が少ない場合は、市販の高栄養ドリンクや栄養補助ゼリーを活用する方法もあります。主治医や管理栄養士に相談しましょう
嚥下機能の評価を受ける
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むせ、咳き込み、食事時間の延長は嚥下機能低下のサイン。主治医や言語聴覚士に評価を依頼しましょう
適切な食事形態を選ぶ
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普通食、軟菜食、きざみ食、ミキサー食、ゼリー食など、嚥下機能に合った形態を医療専門職と相談して決めましょう
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類が目安になります
とろみ調整食品を適切に使用する
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水分でむせやすい場合、とろみをつけることで誤嚥を予防できます。適切なとろみの程度は専門職に確認を
食事の温度に配慮する
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極端に熱いものや冷たいものはむせやすくなります。人肌程度が飲み込みやすい温度です
食事時の姿勢を整える
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背もたれのある椅子に深く腰掛け、やや前かがみの姿勢が安全。ベッド上の場合は30度以上の角度をつけましょう
食事のペースに配慮する
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急いで食べると誤嚥のリスクが高まります。一口ずつ飲み込んでから次の一口を促しましょう
誤嚥のサインに注意する
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食事中のむせ、声のかすれ(湿性嗄声)、原因不明の発熱は誤嚥のサイン。頻繁にある場合は主治医に相談しましょう
1日の水分摂取量の目安を確認する
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食事以外に1日1.2リットル以上が目安。脱水は意識障害や腎機能低下のリスクがあります
水分補給のタイミングを決める
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起床時、毎食時、10時、15時、入浴前後、就寝前など時間を決めて習慣化しましょう
脱水のサインを把握する
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口の乾き、皮膚の弾力低下、尿量の減少、尿の色が濃い、ぼんやりする、などが脱水のサインです
飲みやすい飲み物を準備する
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お茶、白湯、スポーツドリンク、経口補水液など、本人が好んで飲むものを中心に。ゼリータイプの飲料も有効です
毎食後の口腔ケアを行う
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口腔内の清潔は誤嚥性肺炎の予防に直結。歯磨き、義歯の清掃、口腔粘膜の清拭を行いましょう
義歯(入れ歯)の適合を確認する
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合わない義歯は噛む力の低下や食事量の減少につながります。痛みやゆるみがあれば歯科に相談を
定期的な歯科検診を受ける
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訪問歯科診療もあります。口腔機能の維持は栄養状態と全身の健康に大きく影響します
口腔体操(パタカラ体操等)を取り入れる
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「パ」「タ」「カ」「ラ」を繰り返す体操で口や舌の筋力を維持し、嚥下機能の低下を予防できます
配食サービスの利用を検討する
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栄養バランスの良い食事を自宅に届けてもらえる。嚥下調整食やカロリー制限食に対応するサービスもあります
自治体の補助がある場合もあります。市区町村の窓口に確認しましょう
管理栄養士に栄養相談をする
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居宅療養管理指導として管理栄養士の訪問を受けられる場合があります。ケアマネジャーに相談しましょう
自助具・介護用食器を活用する
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握りやすいスプーン、すくいやすい皿、こぼれにくいコップなど、自力で食事できる環境を整えましょう
楽しい食事環境を整える
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一人での食事は食欲が低下しやすい。可能なら家族と一緒に食べる機会を作りましょう
本人の食の好みを記録・共有する
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好きな食べ物、嫌いな食べ物、アレルギーをヘルパーやデイサービスのスタッフと共有しましょう
現在の食事状況・体重・嚥下機能を確認します
栄養管理、食事形態、水分補給の対策をリストで確認します
ヘルパーや家族と食事ケアのポイントを共有します
体重や食事量の変化に応じて対策を見直します
6ヶ月間で2〜3kg以上の体重減少、BMI 18.5未満、食事量の減少(以前の7割以下)、血清アルブミン値3.5g/dl以下などが低栄養の指標です。腕や脚が細くなった、顔色が悪い、傷の治りが遅いなども注意すべきサインです。気になる場合は主治医に相談しましょう。
主な食事形態は、普通食→軟菜食(やわらか食)→きざみ食→ミキサー食(ペースト食)→ゼリー食の段階があります。きざみ食は口の中でまとまりにくく誤嚥リスクがあるため、とろみを加えるなどの工夫が必要です。適切な食事形態は主治医や言語聴覚士の評価に基づいて決定してください。
飲み物や汁物に粉末のとろみ調整食品を加えて混ぜるだけで、とろみがつきます。とろみの段階は薄いとろみ(フレンチドレッシング程度)、中間のとろみ(ケチャップ程度)、濃いとろみ(マヨネーズ程度)があります。適切なとろみの程度は言語聴覚士や主治医に確認してください。
民間の配食サービスや自治体の高齢者向け配食事業があります。嚥下調整食、カロリー制限食、塩分制限食に対応するサービスもあります。自治体によっては補助や見守りを兼ねたサービスもありますので、市区町村の窓口やケアマネジャーに相談してみてください。
口腔内の細菌が誤嚥によって肺に入ると誤嚥性肺炎を引き起こします。誤嚥性肺炎は高齢者の死因として大きな割合を占めます。毎食後の口腔ケア(歯磨き、義歯清掃、口腔粘膜の清拭)により、口腔内の細菌を減らし、肺炎のリスクを低減できます。訪問歯科診療の利用も検討しましょう。
たんぱく質の摂取、食事形態の選び方、水分管理、口腔ケアをカテゴリ別に整理。在宅介護の食事ケアを漏れなく確認できます。
チェックリストをヘルパー、家族、デイサービスのスタッフと共有。食の好みや嚥下機能の情報を統一して安全な食事ケアを実現できます。
体重変化や嚥下機能の変化に応じてリストを見直し。食事形態の調整やサービスの追加を計画的に進められます。