高齢の親の財産管理や相続準備は「まだ早い」と先延ばしにしがちですが、認知症の発症や突然の入院で判断能力が低下すると、預金の引き出し・不動産の売却・各種契約の変更が困難になります。厚生労働省の推計では65歳以上の約5人に1人が認知症になるとされており、「元気なうちに」備えることが極めて重要です。このチェックリストでは、相続発生「前」の生前準備に特化し、やるべきことを整理しています。
財産管理の準備として中心となるのが「任意後見制度」と「家族信託」です。任意後見制度は本人が元気なうちに後見人を選んでおく公的制度で、公証役場での公正証書作成が必要です(公正証書作成の手数料は1万1,000円程度)。家族信託は信頼できる家族に財産の管理・処分権限を移す民事信託の仕組みで、認知症後も信託契約に基づいて財産管理を継続できます。家族信託の設計は複雑なため、専門家への依頼費用は信託財産の額に応じて30〜100万円程度が目安です。いずれも制度の詳細は法務省の公式サイトや各地域の家庭裁判所で確認してください。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であり、この範囲内であれば相続税の申告は不要です。ただし税制は改正の可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトで確認してください。
また、2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内の登記が必要になりました。過去の未登記不動産も対象のため、早めの確認が重要です。
List Withなら、兄弟姉妹でチェックリストを共有し、「財産の棚卸しは長男」「制度の調査は長女」と分担して効率的に準備を進められます。デリケートな話題だからこそ、やるべきことを見える化して家族で一緒に取り組みましょう。
財産の棚卸しから制度検討まで、やるべきことをチェック
預貯金・不動産・有価証券・保険・負債を一覧化するステップ。相続財産の全体像を把握することが全ての準備の出発点になる
預貯金口座を一覧にまとめる
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複数の金融機関に口座が散在していると、相続時に把握漏れが起きやすい
銀行名・支店名・口座番号・おおよその残高を記録。休眠口座も確認
有価証券・投資信託を一覧にする
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株式・投資信託・債券などは相続時に評価額の算定が必要
証券会社名・口座番号・保有銘柄を記録。NISA口座も対象
不動産を一覧にする
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土地・建物は相続財産の大部分を占めることが多い。登記簿で正確な情報を確認
固定資産税の納税通知書で所有不動産を把握できる。共有名義の有無も確認
生命保険・損害保険の契約を確認する
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死亡保険金の受取人・保険金額を把握。生命保険には相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)がある
保険証券を整理。保険会社・保険種類・保険金額・受取人を一覧化
負債・ローン・保証債務を確認する
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住宅ローン・カードローン・連帯保証など、マイナスの財産も相続の対象
信用情報機関(CIC・JICC・KSC)で本人の借入状況を確認する方法もある
デジタル資産を把握する
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デジタル資産は存在自体が把握されにくいため、生前に一覧化しておくことが重要
ネットバンキング・電子マネー・暗号資産・サブスクリプションなど、目に見えない資産が増えている
任意後見制度・家族信託・生前贈与・遺言書など、財産管理と相続に活用できる法的制度の仕組みと選択肢を理解する
任意後見制度の仕組みを理解する
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本人の判断能力があるうちに後見人を選任する制度。法定後見より本人の意思が尊重される
公証役場で任意後見契約の公正証書を作成。契約内容は法務局に登記される
家族信託の仕組みを理解する
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認知症発症後も信託契約に基づき受託者が財産管理を継続可能。後見制度より柔軟な設計ができる
不動産を含む場合は信託登記が必要。設計が複雑なため専門家への相談を推奨
生前贈与の仕組みと非課税枠を確認する
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暦年贈与は年間110万円まで非課税。相続時精算課税制度は2,500万円まで贈与税が非課税(相続時に精算)
2024年以降、暦年贈与の持戻し期間が7年に延長された。最新の税制は国税庁で確認
相続税の概算を試算する
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基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えると相続税が発生。早めに概算を把握する
国税庁のサイトで簡易シミュレーションが可能。正確な試算は税理士に依頼
法定相続人と法定相続分を確認する
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相続人の範囲と相続分は民法で定められている。養子・先妻の子なども法定相続人となる場合がある
遺言書の作成を検討する
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遺言書があれば法定相続分と異なる配分が可能。遺産分割協議のトラブル防止にも有効
公正証書遺言が最も確実。自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用すると安全
税理士・司法書士・弁護士など、分野ごとの専門家に相談するステップ。自治体の無料相談窓口も活用できる
税理士に相続税・贈与税の相談をする
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相続税の試算、生前贈与の活用方法、節税対策など税務面のアドバイスを受ける
相続税に強い税理士を選ぶ。初回相談無料の事務所も多い
司法書士に後見・信託・登記を相談する
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任意後見契約、家族信託の契約、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の専門分野
2024年4月から相続登記が義務化された
弁護士に相続トラブルの予防を相談する
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相続人間の紛争が予想される場合や遺留分の問題がある場合は弁護士に事前相談
自治体の無料相談窓口を利用する
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多くの市区町村で弁護士・税理士の無料相談会を開催している
地域包括支援センターでは高齢者の財産管理に関する相談も受け付けている
財産目録・エンディングノート・重要書類の保管場所整理など、家族が必要な情報にアクセスできる状態を作る
財産目録を作成する
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棚卸し結果を一覧表にまとめる。相続手続きの基礎資料になる
プラスの財産(預貯金・不動産・有価証券)とマイナスの財産(借入金・保証債務)を分けて記録
エンディングノートを準備する
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財産情報だけでなく、医療・介護の希望、連絡先一覧、葬儀の希望などを記録しておく
法的拘束力はないが、家族への意思伝達ツールとして有効。市販品や自治体配布のものがある
重要書類の保管場所を整理する
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通帳・保険証券・権利証・年金手帳・マイナンバーカードなど、重要書類の所在を家族が把握できるようにする
各種アカウントの情報を記録する
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ネットバンキング・各種サービスのログイン情報がないと手続きが滞る
パスワード管理ツールや暗号化した記録を活用。保管場所は信頼できる家族にのみ共有
親との話し合い・兄弟姉妹間の情報共有・主担当者の決定など、家族全員が同じ認識で準備を進めるための合意形成
親と財産管理について話し合う
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デリケートな話題だが、親が元気なうちに意向を確認することが最も重要なステップ
「もしもの時に困らないように」という切り口で自然に話を始めるとよい
兄弟姉妹と情報共有・役割分担する
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相続に関する認識の違いがトラブルの原因になりやすい。早い段階で全員が同じ情報を共有する
財産管理の主担当者を決める
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誰が中心となって準備を進めるかを明確にすることで、対応の抜け漏れを防ぐ
最新の制度・税制情報を公式サイトで確認する
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相続税制・後見制度・信託制度は法改正で変更される可能性がある
法務省、国税庁、最寄りの法務局の公式サイトで最新情報を確認
預貯金・不動産・保険・負債など親の財産状況を整理します
任意後見制度・家族信託・生前贈与など活用できる制度を確認します
必要に応じて弁護士・司法書士・税理士に相談します
チェックリストを家族で分担し、一つずつ準備を進めましょう
親が元気で判断能力があるうちに始めることが重要です。認知症を発症してからでは任意後見契約や家族信託の締結ができなくなります。70代のうちに話し合いを始めるのが理想的ですが、年齢に関わらず早めの着手をお勧めします。
任意後見制度は本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所の監督のもとで後見人が財産管理を行う公的制度です。家族信託は信託契約に基づき受託者が財産を管理する民事の仕組みで、認知症発症後も契約に基づいて不動産の売却等が可能です。柔軟性は家族信託が高いですが、設計が複雑なため専門家への相談を推奨します。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。たとえば配偶者と子ども2人が相続人の場合、4,800万円までは相続税がかかりません。ただし税制は改正の可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトで確認してください。
「もしもの時に家族が困らないように」「銀行口座がわからないと手続きできなくなる」など、実務面の必要性から話を切り出すのが効果的です。エンディングノートを一緒に書くことから始めたり、自分の分を先に作って見せるのも自然なきっかけになります。
はい、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要です。正当な理由なく申請しない場合は過料の対象となります。過去の相続で未登記の不動産がある場合も対象のため、早めに確認しましょう。
ネットバンキング・証券口座・暗号資産・電子マネーなどのデジタル資産は、存在自体が家族に把握されにくいのが最大の問題です。生前に口座一覧とログイン情報を安全な方法で記録し、信頼できる家族にその保管場所を伝えておくことが重要です。暗号資産は秘密鍵を紛失すると永久にアクセスできなくなるため、特に注意が必要です。
財産の棚卸しから制度検討、書類整備まで、生前準備に必要な項目をカテゴリ別に整理。何から始めればいいか一目で分かります
預貯金・不動産・保険・デジタル資産から任意後見・家族信託まで、見落としがちな確認項目も含めて網羅しています
兄弟姉妹でリストを共有して「財産の調査は兄」「制度の調べ物は妹」と分担。家族全員の認識を揃えながら準備を進められます