ダブルケアとは、育児と介護を同時に担う状態を指します。内閣府の調査では全国で約25万人と推計され、30〜40代の女性が中心です。晩婚化・晩産化により、子どもがまだ手のかかる年齢のうちに親の介護が始まるケースが増えており、「待ったなし」が重なることで心身・経済・仕事の負担が一気に押し寄せます。一人で抱え込むと離職や健康悪化につながりやすいため、使える制度を知り、家族・職場・地域で分担する体制を早期に作ることが重要です。
最初に押さえるべきは、育児支援と介護支援は根拠法が異なる別制度であり、同時に申請・併用できるという点です。子ども・子育て支援新制度による保育所利用と、介護保険法によるデイサービス・ショートステイ・訪問介護は、それぞれ市区町村の保育課と地域包括支援センター(介護保険課)で別々に手続きします。「親はデイサービス、子どもは保育所」「午前はファミリー・サポート、午後は訪問介護」といった組み合わせも可能です。また、「同居親族の介護」は保育の必要性の認定事由の一つとされ、育児のみの家庭より優先順位が上がる場合があります(市区町村の基準により調整指数が加算)。
育児・介護休業法では、対象家族1人につき介護休業は通算93日(3回分割可)、**介護休暇は年5日(対象家族2人以上は年10日)**が法定で認められています。育児休業とは別枠のため、両方の事由があれば条件により組み合わせ可能です。雇用保険から介護休業給付金(休業前賃金の67%)・育児休業給付金が支給され、収入減のショックを和らげられます。介護離職は生涯収入で数千万円の損失になるとされるため、辞める判断の前に必ず人事部門とハローワークで制度を確認してください。テレワーク・時短勤務・フレックスタイムの併用で乗り切れるケースも少なくありません。
ダブルケアで最も疲弊しやすいのは、「子どもの急な発熱」と「親の介護の緊急対応」が重なる瞬間です。病児保育の事前登録、ファミリー・サポート・センターの会員登録、ショートステイの空床確認など、緊急時に即日使える手段は余裕のあるうちに登録だけ済ませておくのが鉄則です。ケアマネジャーに「育児と並行している」ことを明確に伝えるとダブルケア対応のケアプランが組まれやすく、デイサービスの時間帯を保育園送迎に合わせてもらえる場合もあります。
ダブルケアは夫婦・兄弟姉妹を含む家族全体の課題です。チェックリストで「保育園の持ち物」「介護サービス予定」「通院の付き添い」を一覧化し、パートナーや兄弟姉妹と共有することで、役割分担と情報共有が格段にスムーズになります。
家族と共有して育児と介護を分担しましょう
育児支援と介護支援は別制度として併用できます。相談窓口・保育の必要性認定事由・ファミリー・サポート・センターなど、ダブルケアで使える公的支援を最初に棚卸ししましょう。
ダブルケアの相談窓口を確認する
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地域包括支援センター、子育て世代包括支援センターの両方で相談できます。ダブルケアであることを伝えましょう
育児支援と介護支援の併用が可能か確認する
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保育所の利用と介護保険サービスは別制度のため、それぞれ申請すれば併用できます
介護を理由とした保育所優先入所の可否を確認する
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「同居親族の介護」は子ども・子育て支援法の保育の必要性認定事由の一つ。多くの市区町村で利用調整の調整指数に加点され、育児のみ世帯より優先順位が上がる可能性があります
加点の程度や申請書式は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の保育課に直接確認してください。要介護認定被保険者証の写し等が必要になる場合があります
ファミリー・サポート・センターを確認する
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子どもの送迎や預かりを地域の支援者に依頼できる相互援助制度。介護の用事がある日に活用できます
ダブルケアラー向けの支援団体・コミュニティを探す
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同じ状況の人と情報交換できる場があると心強い。実用的な両立のコツも得られます
NPOや自治体主催の交流会を確認しましょう
日中の育児負担を軽減するサービス群。保育所・一時保育・病児保育・学童は事前登録が必要な場合が多く、介護の急用が発生する前に手続きを済ませておくのが鉄則です。
保育所・認定こども園の利用を確保する
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日中の育児負担を軽減する最重要サービス。介護との両立の必要性を申請時に伝えましょう
一時保育・病児保育を確認する
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介護の急な用事や通院同行時に利用。事前登録が必要な施設が多いため早めに手続きを
学童保育・放課後子ども教室を確認する
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小学生の子どもがいる場合、放課後の預かり先を確保しましょう
子どものショートステイ(短期入所生活援助)を確認する
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介護の緊急対応時など、一時的に子どもを安全に預けられる手段として把握しておくと安心です
保護者の病気や介護等の理由で一時的に子どもを預けられる制度。市区町村の子育て支援課に確認してください
介護保険サービスはケアマネジャーを介して組み立てます。「育児と並行中」を明確に伝えることで、デイサービスの時間帯調整や緊急時ショートステイなど、ダブルケア向けのプラン調整が可能です。
デイサービス・デイケアの利用を検討する
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日中の介護負担を軽減。子どもの保育時間と合わせることで自分の時間を確保できます
ショートステイの利用を検討する
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子どもの行事、体調不良時など、介護に手が回らない日に活用しましょう
訪問介護の利用時間を調整する
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子どもの送迎時間帯にヘルパーに来てもらうなど、育児の予定と組み合わせて効率化
ケアマネジャーにダブルケアの状況を伝える
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育児と並行していることを伝えれば、それを考慮したケアプランを作成してもらえます
介護離職を避けるための制度確認。介護休業93日・介護休暇年5日は育児休業と別枠で法定化され、給付金もそれぞれ支給されます。辞める判断の前に必ず人事部門とハローワークに相談しましょう。
勤務先の柔軟な働き方の制度を確認する
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育児・介護休業法では短時間勤務・フレックスタイム・始業終業時刻の繰上下げ・所定外労働の制限・深夜業の制限を労働者が請求できます。テレワークと組み合わせれば介護休業93日を使い切る前に両立可能な体制を作れます
勤務先独自の上乗せ制度(介護目的の特別休暇等)や運用ルールは人事部門に確認。介護が本格化する前に早期相談しておくと、いざという時に慌てません
介護休業・介護休暇の取得条件を確認する
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介護休業は対象家族1人につき通算93日まで3回に分割取得可能。介護休暇は年5日(2人以上は年10日)
育児休業の延長・分割取得を確認する
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育児休業と介護休業は別の制度。条件によっては組み合わせて利用できる場合があります
介護休業給付金・育児休業給付金を確認する
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休業中の経済的な補償制度。それぞれ雇用保険から支給されます。ハローワークに確認しましょう
ダブルケアは一人で抱えないことが最大のポイント。パートナー・兄弟姉妹とタスクを可視化して分担し、緊急時(子の発熱+親の急変)の対応フローも事前に共有しておきます。
パートナーと育児・介護の分担を話し合う
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どちらか一方に負担が集中しないよう、具体的なタスクと時間帯で分担を決めましょう
兄弟姉妹と介護の役割を分担する
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ダブルケアラーは育児時間があるため主介護者一人で抱えきれません。担当曜日・通院付き添い・金銭負担割合を具体的に決め、遠方の兄弟姉妹には「行政手続き代行」「オンライン家族会議の運営」など対面以外の貢献で公平感を作ります
直接介護できない兄弟姉妹の「協力する」という曖昧な約束は争いの原因になりがち。曜日・金額・役割名を数値や固有名で合意し、共有チェックリストで可視化しておきましょう
育児・介護・仕事の週間スケジュールを作成する
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保育園の予定、デイサービスの日程、仕事の予定を一覧にして管理しましょう
緊急時の対応計画を立てる
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子どもの急な発熱と介護の緊急事態が重なった場合の対応を事前に決めておきましょう
ダブルケアラー自身の健康を守る項目。レスパイト(休息)制度やピアサポートを積極的に活用し、心身の疲弊・孤立を防ぎます。つらい時の相談窓口を先に把握しておくのも大切です。
自分だけの時間を確保する
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ダブルケアラーは育児24時間+介護対応で休息が途切れやすく、介護うつ・燃え尽きのリスクが高いとされます。保育園利用日やデイサービス利用時間に美容院・通院・友人との外出など「先に予定として入れる」ことで、罪悪感なく休めます
相談できる専門窓口を把握する
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地域包括支援センター、子育て相談窓口、よりそいホットライン(0120-279-338)など、つらい時に相談できる先を確認しておきましょう
レスパイト(休息)の方法を検討する
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介護のショートステイと子どもの一時保育を同時に利用し、まとまった休息を取ることも大切です
育児と介護が同時に発生するダブルケアは、制度が分かれているため窓口・申請・調整がそれぞれ別々になります。内閣府「ダブルケア実態調査」や厚生労働省、男女共同参画局の情報に基づき、以下の5フェーズで体制を構築します。
育児支援・介護支援の制度は 自治体によって運用や上乗せサービスが異なり、勤務先の両立支援制度も企業ごとに差があります。最新情報は 市区町村(保育課・介護保険課・地域包括支援センター)と勤務先人事担当 に必ず確認してください。
子育て世代包括支援センター(保育課)と地域包括支援センター(介護保険課)の両方に「ダブルケア状態」と明示して連絡。別制度のため申請は別々だが、どちらの窓口でも連携情報を得られ、介護を理由とした保育所の調整指数加算も確認できます
介護休業(対象家族1人につき通算93日・3回分割可)、介護休暇(年5日、対象家族2人以上は10日)、育児休業の併用を勤務先人事とハローワークで確認。介護休業給付金(賃金67%)と育児休業給付金を組み合わせ、離職を回避する設計を作成します
「子の急な発熱」と「親の介護緊急」が重なる最悪ケースを想定し、第一対応者・第二対応者を決定。病児保育・ファミリー・サポート・子どものショートステイ(短期入所生活援助)・介護のショートステイの事前登録を済ませ、当日連絡すれば使える状態にします
保育園の予定、デイサービスの曜日、通院日、仕事の会議を1枚のカレンダーに集約し、パートナー・兄弟姉妹と共有。ケアマネにデイサービスの時間帯を保育園送迎に合わせてもらうなど、ダブルケア向けのプラン調整を依頼します
子どもの進級・入学や親の要介護度区分変更のタイミングで、保育・介護サービスの組み合わせを見直し。セルフケア(休息時間・相談窓口利用)も組み込み、介護離職・介護うつ・ヤングケアラー化を予防します
育児と介護を同時に担う状態のことを指します。内閣府の調査では全国で約25万人がダブルケアの状態にあると推計されており、中心は30〜40代の女性です。晩婚化・晩産化により、子どもがまだ手のかかる年齢のうちに親や義親の介護が始まるケースが増えています。育児と介護は両方とも「待ったなし」で重なるため、体力的・精神的な負担が一気に高まりやすく、離職や健康悪化、家計の悪化につながるリスクが指摘されています。公的な定義や固定した年齢制限はなく、「育児と介護が同時期に発生している家庭」は誰でも当事者になり得る状態です。
はい、育児支援と介護支援は根拠法が異なる別制度のため、基本的に併用できます。たとえば、子どもの保育所利用と親のデイサービス利用を同時に行う、ファミリー・サポート・センターの送迎援助と訪問介護を同じ日に組み合わせる、といった使い方が可能です。申請先は育児側が市区町村の保育課・子育て世代包括支援センター、介護側が地域包括支援センター・介護保険課と分かれているため、それぞれの窓口で別々に手続きする必要があります。どちらの窓口でも「ダブルケアの状態である」と最初に伝えることで、連携した情報提供を受けやすくなります。
「同居親族の介護」は、子ども・子育て支援法における保育の必要性の認定事由の一つとされています。多くの市区町村では利用調整の際に介護の状況を「調整指数」として加点する仕組みがあり、育児のみの家庭より優先順位が上がる可能性があります。申請時には、要介護認定を受けていることが分かる書類(介護保険被保険者証の写しなど)や、介護の状況を説明する書類を添付するのが一般的です。加点の程度や書式は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの市区町村の保育課に直接確認してください。入所時期によって空き状況も変動するため、早めの相談が安心です。
介護面は地域包括支援センター、育児面は子育て世代包括支援センター(利用者支援事業)が一次相談窓口です。いずれも市区町村が設置する公的窓口で、無料で相談できます。どちらの窓口でも「ダブルケアの状態であること」を最初に伝えると、もう一方の機関と連携したり、必要なサービスを紹介してもらえたりします。加えて、NPOや自治体主催の「ダブルケアカフェ」「ダブルケアラー交流会」では同じ境遇の人と情報交換でき、実践的な両立のコツを得られます。つらさが強いときは、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間無料)などの電話相談も活用してください。
育児・介護休業法上、介護休業と育児休業は別の制度として規定されており、同時期に両方の事由があれば制度上は併用可能です。ただし、同じ期間に両方を同時取得するのではなく、「前半は育児休業、後半は介護休業」のように時期を分けて取得するケースが多く見られます。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで3回に分割取得できるため、急性期だけ介護休業を取り、落ち着いたら復帰するという使い方も可能です。勤務先の就業規則で法定を上回る制度を定めている場合もあるため、まず人事部門に個別の状況を相談し、給付金(介護休業給付金・育児休業給付金)の手続きも含めて最適な取り方を検討してください。
介護を理由に仕事を辞める前に、必ず勤務先で使える制度を棚卸ししてください。法定制度だけでも、介護休業(通算93日・3回分割可)、介護休暇(年5日、対象家族2人以上は年10日)、短時間勤務・フレックスタイム・始業終業時刻の繰上下げ・所定外労働の制限・深夜業の制限など、複数のオプションがあります。雇用保険の介護休業給付金は休業前賃金の67%が支給され、収入減の影響を大きく和らげます。ケアマネジャーと相談して介護サービスを最大活用し、テレワーク等を組み合わせれば仕事と両立できるケースが多いため、離職の判断は最後の選択肢として慎重に行ってください。厚生労働省や各自治体の仕事と介護の両立支援窓口でも無料相談を受けられます。
ダブルケア家庭では、子どもが祖父母の介護場面に日常的に触れることになり、保護者は「子どもの心に負担をかけていないか」と悩みがちです。一般的には、年齢に応じて状況を隠さず説明し、無理のない範囲で小さな役割(おじいちゃんに声をかける、飲み物を運ぶ等)を持たせることで、むしろ思いやりや生命の理解が育つ面もあるとされています。一方で、介護のケアを子どもが恒常的に担う「ヤングケアラー」状態にならないよう、責任は保護者が持ち、子ども自身の遊び・学習・休息の時間を必ず確保することが重要です。心配な場合はスクールカウンセラーや子育て相談窓口で話を聞いてもらうのも有効です。
遠距離介護とダブルケアが重なるケースでは、現地の地域包括支援センターへの早期相談が何より重要です。親が住む地域の介護保険申請・ケアマネジャーの選定・配食サービスや見守りサービスの導入を進めることで、子育て中のあなたが頻繁に移動しなくても一定の支援体制を作れます。緊急時の連絡体制として、親のかかりつけ医・ケアマネジャー・近隣の親族の連絡先を1枚にまとめて共有しておくと安心です。介護休業は遠距離介護でも取得可能で、帰省と介護体制構築のために使えます。ダブルケア家庭では「自分が行けない時に誰が動くか」をあらかじめ決めておくことが、育児との両立を崩さないコツです。
育児支援と介護支援の両方の制度をカテゴリ別に整理。併用可能な制度を漏れなく確認し、使える支援を最大限活用できます。
パートナーや兄弟姉妹とチェックリストを共有し、育児・介護・仕事のタスクを分担。一人に負担が集中するのを防げます。
保育園、デイサービス、通院、仕事の予定を整理。重なるタスクを可視化して、限られた時間を有効に使えます。