少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる簡易裁判所の特別な手続きです(民事訴訟法第368条第1項)。原則として1回の審理で判決が出るため、通常訴訟に比べて短期間・低コストで紛争を解決できます。弁護士に依頼せず個人で手続きを進めることも可能ですが、訴状の作成、収入印紙の購入、証拠書類の整理など、事前に準備すべき項目が多岐にわたります。準備不足のまま期日を迎えると十分な立証ができず請求棄却のリスクもあるため、チェックリストでの事前確認が重要です。
申立手数料(収入印紙代)は請求額に応じて1,000円〜6,000円で、例えば請求額30万円なら3,000円、60万円なら6,000円です。これに加えて郵便切手代(裁判所により異なりますが3,000円〜5,000円程度)が必要です。訴状は裁判所の窓口で定型用紙を入手するか、裁判所ウェブサイトからダウンロードできます。貸金・売買代金・敷金返還・賃料請求など類型別の記載例も公開されているので、自分のケースに近いものを参考に作成しましょう。なお、少額訴訟の利用は同じ裁判所に年間10回までという制限があり、被告の申立てにより通常訴訟に移行する場合もあります。
少額訴訟では1回の期日で全ての主張と立証を行う必要があるため、事前準備の質が結果を大きく左右します。契約書・請求書・振込記録・メールのやり取りなど、請求を裏付ける証拠を漏れなく整理し、請求金額の計算根拠も明確にしておくことが重要です。簡易裁判所の窓口では訴状の書き方について説明を受けることもでき、初めての方でも安心して手続きを進められます。このチェックリストで訴状の作成から裁判当日の持ち物、判決後の手続きまで一覧で確認し、期日までに確実に準備を完了しましょう。
必要書類と費用を確認して漏れなく準備
訴状の作成・副本の準備・請求内容の整理など提出書類一式
訴状(少額訴訟用)
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裁判所窓口で定型用紙を入手するか、裁判所ウェブサイトからダウンロード。貸金・売買代金・敷金返還など類型別の記載例あり
裁判所提出用の正本1通と、被告の人数分の副本が必要
訴状副本(被告の人数分)
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被告に送達するための訴状のコピー。被告が複数いる場合はその人数分を用意
請求の趣旨・請求の原因の記載内容を整理する
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訴状には請求の趣旨(何を求めるか)と請求の原因(なぜ求めるか)の記載が必要。1回の審理で立証するため、具体的かつ正確に記載する
請求金額の計算根拠を整理する
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元金・利息・遅延損害金などの内訳を明確にしておく。60万円以下であることが少額訴訟の要件
認印(朱肉を使う印鑑)
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訴状への押印に必要。実印である必要はないが、シャチハタ等のスタンプ印は不可
商業登記簿謄本(登記事項証明書)
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原告または被告が法人(会社等)の場合に必要。法務局で取得。発行から3ヶ月以内のもの
当事者が個人の場合は不要
契約書・請求書・振込記録・メールなど請求を裏付ける証拠資料の準備
契約書・合意書のコピー
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金銭貸借・売買・賃貸借など、請求の根拠となる契約書。裁判所用1部と被告の人数分を用意
請求書・領収書・納品書のコピー
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金銭の授受や商品の引渡しを証明する書類。取引の事実を裏付ける重要な証拠
内容証明郵便(催告書)のコピー
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訴訟前に相手方に支払いを催告した記録。送付済みの場合は証拠として提出
振込明細・送金記録のコピー
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金銭を支払った事実や貸し付けた事実を証明する銀行の取引明細
メール・LINE等のやり取りの記録
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相手方との交渉経緯や支払い約束の証拠。スクリーンショットや印刷物を整理して提出
写真・動画等の証拠資料
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物損や修繕費用など、被害状況を示す写真。交通事故や敷金返還請求で特に有効
証拠書類一式のコピーを準備する(裁判所用・被告用)
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証拠書類はすべて裁判所用1部と被告の人数分のコピーが必要。甲号証として番号を付ける
収入印紙(申立手数料)と郵便切手(予納郵券)の購入
収入印紙(申立手数料)
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請求額に応じた額を訴状に貼付。10万円以下=1,000円、20万円以下=2,000円、30万円以下=3,000円、40万円以下=4,000円、50万円以下=5,000円、60万円以下=6,000円
コンビニ・郵便局・法務局で購入可能。最新の手数料額は裁判所の公式サイトで確認してください
郵便切手(予納郵券)
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裁判所から被告への訴状送達や呼出状の送付に使用。裁判所により金額・内訳が異なるため、事前に管轄裁判所に確認が必要
目安は3,000円〜5,000円程度。東京簡易裁判所では被告1人あたり約5,200円
管轄裁判所・利用要件・被告情報・消滅時効など申立前の確認事項
管轄裁判所を確認する
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原則として被告の住所地を管轄する簡易裁判所に提訴。金銭請求の場合は支払場所の簡易裁判所にも提訴可能
管轄は裁判所の公式サイトで確認できます
少額訴訟の利用要件を確認する
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60万円以下の金銭請求に限定。物の引渡し・建物明渡し・登記請求などには利用不可。同一裁判所に年10回まで
被告の住所・氏名を正確に確認する
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訴状に被告の正確な住所・氏名の記載が必要。送達先が不明だと手続きが進まない
消滅時効を確認する
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債権の種類により時効期間が異なる。一般債権は権利行使できることを知った時から5年(民法166条)。時効が完成すると請求できなくなる
訴訟前の交渉・催告を記録しておく
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内容証明郵便で催告しておくと、交渉経緯の証拠になる。裁判所でも和解を勧められることがある
簡易裁判所の窓口で事前相談する
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簡易裁判所の窓口では訴状の書き方について説明を受けられる。初めての方は利用を推奨
弁護士・司法書士への相談を検討する
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法テラスの無料相談も利用可能。訴状の作成や証拠の整理に不安がある場合は専門家のアドバイスが有効
口頭弁論期日の確認・証拠原本の持参・主張内容の整理
口頭弁論期日を確認する
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申立てから約1ヶ月後に期日が指定される。裁判所からの通知を確認し、日時・場所を把握
証拠書類の原本を持参する
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審理当日に裁判官が原本確認を求める場合がある。コピーは事前に提出するが、原本も必ず持参
証人の出廷準備をする(必要な場合)
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証人を立てる場合は審理当日にその場で証言できるよう手配が必要。証人は当日出廷できる人に限られる
口頭弁論での主張内容を整理する
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1回の審理で全ての主張・立証を行う必要がある。要点を簡潔にまとめたメモを用意
本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
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裁判所での本人確認に必要な場合がある
判決内容の確認・異議申立ての検討・強制執行の手続き
判決内容を確認する
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分割払いや支払猶予が認められる場合がある。遅延損害金の免除が含まれることも
異議申立ての要否を検討する(判決に不服がある場合)
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少額訴訟判決に対しては同じ簡易裁判所に異議申立てが可能。地方裁判所への控訴はできない
判決書の送達を受けた日から2週間以内に申立てが必要
強制執行の手続きを検討する(相手が支払わない場合)
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判決が確定しても相手が支払わない場合は少額訴訟債権執行の申立てが可能。給与や預金の差押えができる
少額訴訟の利用要件(60万円以下の金銭請求)を確認し、被告の正確な住所・氏名を把握します。内容証明郵便で催告書を送付し、交渉経緯を記録として残しておきましょう。消滅時効の確認も忘れずに行います。
管轄の簡易裁判所を確認し、訴状を作成します。契約書・請求書・振込記録・メールなどの証拠書類を甲号証として整理し、裁判所用と被告用のコピーを準備します。収入印紙と郵便切手も購入しておきます。
簡易裁判所の窓口に訴状一式を提出します。申立てから約1か月後に口頭弁論期日が指定されます。期日までに主張内容を整理し、証拠原本を手元に準備しておきましょう。
1回の審理で主張と立証を行います。裁判官から和解を勧められることもあり、和解が成立すればその場で解決です。和解に至らない場合は原則当日中に判決が言い渡されます。
判決内容を確認し、必要に応じて異議申立て(2週間以内)を検討します。相手が支払わない場合は少額訴訟債権執行の申立てにより給与や預金の差押えが可能です。
少額訴訟に必要な書類・費用・タスクの一覧を確認します
裁判所の定型用紙や記載例を参考に訴状を作成します
収入印紙・郵便切手・証拠書類など、準備できたものからチェックを入れます
リストを活用して、裁判期日までに全ての準備を完了させましょう
はい、少額訴訟は弁護士に依頼せず個人で手続きを進めることが可能です。訴状は裁判所の窓口に定型用紙が用意されており、裁判所のウェブサイトからダウンロードもできます。記載例も類型別に公開されているので、参考にしながら作成できます。不安な場合は、簡易裁判所の窓口で書き方の説明を受けることもできますし、法テラスの無料相談を利用する方法もあります。
申立手数料(収入印紙代)は請求額に応じて1,000円〜6,000円です。例えば請求額が30万円なら3,000円、60万円なら6,000円となります。これに加えて郵便切手代(裁判所により異なりますが3,000円〜5,000円程度)が必要です。弁護士に依頼しない場合、合計で1万円前後の費用で手続きが可能です。最新の手数料額は裁判所の公式サイトでご確認ください。
60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り利用できます。具体的には、貸金の返済請求、売買代金の請求、賃料の未払い請求、敷金の返還請求、交通事故の物損賠償請求などが典型例です。ただし、建物の明渡し、物の引渡し、登記の請求など金銭以外の請求には利用できません。また、同じ裁判所に年間10回までという利用回数の制限があります。
少額訴訟は原則として1回の審理(口頭弁論)で終結します。申立てから約1ヶ月後に期日が指定され、当日に原告・被告双方が主張と証拠を提出します。裁判官が和解を勧めることもあり、和解が成立すればその場で解決です。和解に至らない場合は、原則としてその日のうちに判決が言い渡されます。1回で全ての立証を行う必要があるため、証拠書類は事前にしっかり準備しておくことが重要です。
被告には、最初の期日で自分の言い分を述べるまでの間に、通常訴訟での審理を求める権利があります(民事訴訟法第373条第1項)。被告がこの申出をした場合、自動的に通常訴訟に移行し、少額訴訟の手続きは利用できなくなります。通常訴訟では複数回の審理が行われるため、期間が長くなる可能性があります。
判決が確定しても相手が支払わない場合は、少額訴訟債権執行の申立てができます。これにより、相手の給与や預貯金を差し押さえることが可能です。申立ては判決を出した簡易裁判所に行います。強制執行の手続きには別途費用がかかりますので、詳しくは裁判所の窓口にご相談ください。
訴状の作成、収入印紙の購入、証拠書類のコピーなど、少額訴訟に必要な準備項目をすべてチェックリストで管理できます。準備できたものからチェックを入れて、漏れを防ぎます。
請求額に応じた収入印紙代や郵便切手代など、少額訴訟にかかる費用の目安をリスト内で確認できます。事前に費用を把握して計画的に準備を進められます。
URLを共有するだけで、家族や相談中の専門家と書類の準備状況を共有できます。「訴状の作成は自分」「証拠の整理は家族に依頼」など、タスク分担の管理に便利です。